トゥルク・ギュルメ・ドルジェ・リンポチェ(トゥルク・ドル)はチベット・ニャロンのご出身で1972年12月5日生まれ、ニャロン・カトック・シワ・ゴンパにて出家、12歳から18歳までセルタ・ラルン・ガルにて偉大なるジグメ・プンツォク・リンポチェより直接教えを授かりました。その後インド・ミンドゥリン寺院直属のシェダ(仏教大学)であるナギュー・ニンマ・カレッジの課程を2000年に終了され、ナギュー・ニンマ・カレッジで教鞭を執られたのち、ネパール・シャルパ寺で3年教え、その後ミンドゥリン寺からブッダガヤのニンマ・仏教センターの主な責任者として任命され、三年教鞭を執りました。2010年3月21日、正式にケンポ(住持、仏教博士)を授与され、ナギュー・ニンマ・カレッジにて教え続けています。
ミンドゥリン寺はチベット仏教ニンマ派の6大寺院の一つであり、ニンマ派経典を収集し、偉大なる埋蔵経発掘者、ダライ・ラマ5世の師としても著名なリンジン・テルダク・リンパにより1676年、チベットのダラムで建立されました。その後300年以上の間、寺院ではニンマ派の13の主要な顕密経典、テルダク・リンパの系譜を主とする様々な埋蔵経の修行など伝統的なチベット仏教の学習が行われてきました。亡命後、インド・クレメントタウンにて再建され、チベット仏教寺院の重要な拠点の一つとなっています。
寺院では300人以上の僧侶が初等学校から仏教教育を受け、3年3か月のリトリートセンターやチベット仏教の翻訳事業などの施設も充実しています。
http://mindrolling.org/default.cfm
ナギュー・ニンマ・カレッジ
ミンドゥリン仏教学院では何百人の僧侶がチベット仏教の途絶えなき生きた系譜を次の世代に伝え、至高なる仏法を一切衆生の利益のため布教しています。衆生の世俗及び勝義の全ての幸福は因果の相互依存を理解し、善を培い悪を断つことを通し得られるからです。学院の定礎式は1988年4月26日ダライ・ラマ法王により据えられ、1991年3月28日ダライ・ラマ法王によりミンドゥリン寺所属学院として正式に発足しました。学院はインド最大の仏教学院の一つとなっています。
学院では全知ロンゾム・パンディッタ、全知ロンチェンパ、持明者リンジン・テルダク・リンパ、ロチェン・ダルマシュリ、ジャムゴン・ミパム・リンポチェなどの生きた系譜に沿って学んでいます。課程は9年間で、戒律・アビダルマ・顕教・密教から構成されています。
http://www.khenchenrinpoche.org/
功徳蔵(ヨンテン・ズー)
ジグメ・リンパ(1730-1798)による著作でチベット仏教ニンマ派の教理に沿って仏教徒が歩む全体図を優美な韻文で紹介している。基礎となる要点から最も高度な修行であるゾクチェンまでの仏陀の教えを、一つの悟りへ至る道として矛盾なく、段階的にまとめている。著作は広く敬われているテキストであり、全てのニンマ派組織、特に高等教育の長期学習の集大成として学ばれている。
ダライ・ラマ法王
「ゾクチェンの教えは大変至高で難解である。一般的にニンマ派の道、特にゾクチェンに興味を持っている方はジグメ・リンパの更に近づきやすい功徳蔵(ヨンテン・ズー)を学ぶべきである。功徳蔵(ヨンテン・ズー)は道次第(ラムリム)のジャンルに属されるテキストであり、ニンマ派の教理に沿い悟りへの全ての段階をゾクチェンの教えも含め教示されている。初めの部分では、心を仏法に向ける4つの思考、輪廻の本質、四聖諦、十二縁起について触れられている。これを基盤として、仏陀、彼の教え、精神的コミュニティーにどう帰依するか、その重要性、目覚めた心である菩提心をどのように生起させるかについて説明している。六波羅蜜の教示では、三戒(別解脱戒、菩薩戒、密教戒)の議論を振る舞いに関する手引きとして、中観は見解を正す導きとして説明されている。どのような方法を通し読み終えても、この著作は包括的で要約的、読みやすくなっている。」
ジグメ・リンパ
ニンマ派の偉大なる師の一人であり、偉大なる導師ビマナミトラとティソン・デツェン王の転生者として認定されているが、彼自身はシンプルでひっそりとした環境に生まれ育った。6歳で出家し基礎的な寺院教育を受けた後、13歳で偉大なる埋蔵経発掘者リンジン・ツトク・ドルジェに会い、多くの教えと要訣を学んだ。ゾクチェン系譜の守護者であるマンジュシュリミトラが不可思議に顕現された後、寺院を離れ長髪の修行者となった。性質的に人里離れた場所で修行することを好み、3年のリトリートを2回終えた。埋蔵発掘者としてロンチェン・ニンティクとして知られる殊勝なる教えを発掘した。31歳の時2度目のリトリートにて3回に渡りロンチェンパから不可思議な顕れにより、1度目はロンチェンパの教えの全てを授かり、2度目はロンチェンパより教えを保持し布教する許可を授かり、3度目に2人の心が言葉を超え共になり、ロンチェンパの境地がジグメリンパの心に即座に生じた。2度目のリトリートを終えた後、発掘から7年経ち仏法の宝であるロンチェン・ニンティクを近い弟子であるジグメ・ティンレー・オゼル(ドゥルプチェン・リンポチェ1世)とジグメ・ギャルウェー・ニュグ(パトゥル・リンポチェの師)に伝えた。ロンチェン・ニンティクはそれ以降チベットで広がりニンマ派の最も重要な瞑想修行法となっている。
その後、ジグメ・リンパは小さな隠遁瞑想所で過ごし、とてもシンプルなライフスタイルで多くの弟子を指導し、在家信者からの供養を慈悲と宗教行為の為に用いた。例えば、彼の生涯に渡る行為は屠殺人や狩人から動物を買い、放すことであった。彼の生涯は、経典に描かれているような模範的な偉大なる菩薩の品格を持つ御方であり、それは彼の著作に示されている。彼は自伝を著しており、そこから彼の暖かく慈愛に溢れ、明瞭で恐れなく、狡猾のない至高なる成就の慈悲と明瞭に溢れた品格を垣間見ることが出来る。
私の知覚は少年のようになった、私は子供たちと遊ぶのがとても好きだ。でも品格の悪すぎる人々に会った時は、たとえ彼らが重要な宗教指導者や寛大な施主であっても、彼らの欠点を躊躇なく直接突きつける。座ったり歩いたり、食べたり寝たり、何をしている時でも、私の心は究極の本質である光明の状態から決して離れることはない。私が仏法のためにすることは、たとえ不可能に見えても、それを円満に終えるよう固く誓う。
彼の生活は至ってシンプルでありながら、並外れた学者であることに疑いはない。「生まれながらの智者」であり、沢山学ばずとも教えを消化する能力と理解力を持ち合わせていた。25篇からなるニンマ・タントラを集成し、その歴史を構成した。涅槃に入られる際は9篇の原典と埋蔵経典を残した。その中でもロンチェン・ニンティクは確かに最重要で良く知られているが、2部に渡る功徳蔵(ヨンテン・ズー)は学問的な著作として最も称賛されている。
http://www.amazon.co.jp/Treasury-Precious-Qualities-Commentary-Lingpa/dp/1570625980
ンテン・ズー(功徳蔵)』はそのジグメ・リンバの主著で、仏教の第一歩から究極のゾクチェンの境地にいたるまでを、一冊に凝縮し、まとめられたものです。ニンマ派最重要の教えのひとつで、このような教えを受けることができるのは、その方が前世からはかりしれない功徳を積まれてきたことの証といっても過言ではありません。
今回、研究所では、ケンポに3ヶ月間、日本に滞在し、この究極の教えを授け、指導することをお願いいたしました。忙しい日本で、教えに参加されることは容易ではないかもしれませんが、一人でも多
の方が、今回の趣旨を理解され、教えに参加されることを願っています。