ワールド・チベット・ニュース   2009年1・2・3月 第16号
カナダのワールド・チベットニュース(WTN)のご厚意によりご了承をいただき、その一部を転載しています
【ダライ・ラマ法王後継者について語る】     
       1月18日/KEYC
 14世ダライ・ラマ法王は、自身の後継者として女子を選ぶ事に偏見は無いとほのめかした。 伝統的に歴代ダライ・ラマ法王は男子であるが、男であれ女であれ適格な人物が後継者になれば良いと、50年に渡り亡命生活しているインドにて聴衆に向かい語った。 チベットの精神的指導者である現ダライ・ラマ法王は、1959年中国共産党支配に抵抗する蜂起を成したが達せられず、国を逃れた。最近になって法王は、中国の干渉を避ける為、伝統を打ち破り、生前に後継者を選ぶのではという噂が渦巻いている。

【チャムド県にて、中国愛国教育に抗議し6人のチベット人が拘束される】 
       1月23日 チベットNET(ダラムサラ)
 ダライ・ラマ法王を公然と非難し、かつ不当な宣伝をする中国政府の愛国教育の強化に対し批判の声が高まっており、チベット自治区のチャムド(Chamdo、中国名昌都)県Dzogang(中国呼称Zuogong)区においてチベットの若者が警察により拘束された。
 現地時間1月20日(火)午後2時から3時頃にかけ同地にてチベット人の若者グループが抗議行動を行い、6人が拘束された。彼らはティンレイ・ギャッツオ別名ティンレイ・グトゥップ、ブ・ダルゲー、ノルブ・タシ、ペマ・ツペック、ゴンポ・ダドゥルの男5人、内3人は塗装工、とデチゥ・ドルマの女1人で、全員Dzogang区プンダ町の出身と確認された。
 これらチベット人若者グループは、チベット国旗を持ち、標語を叫びながら地元警察本部へ向かい行進したところ、公安当局により拘束され激しく殴られた。事件の後、地元当局は武装車を配備し保安を強化している。この抑圧的な施策をものともせず、チベット人婦人グループは地元官憲対し、全ての拘束者の釈放を要求した。

【新年を迎えダライ・ラマ法王、中国の人々へ祝詞を述べる】
        1月25日IANS(ダラムサラ)
 チベットの精神的指導者ダライ・ラマ法王は25日中国人民に対し、旧正月の祝詞を述べると共に、中国政府に対してはチベットにおけるさらなる自由、司法主義及び透明性を認めるべく指導力を発揮するよう要請した。
 祝詞の中で法王は、「中国の初春祝祭に際し、中国本土に住んでいる中国人を含め全世界の親愛なる中国人の兄妹に対し、お祝いを申し上げます。中国は、5千年以上の歴史と華麗で豊かな文化遺産がある事に加え、世界で一番人口の多い国で、さらに超大国となりました。しかし中国と言えども、国内に於ける自由主義・司法主義、及び透明性が無ければ、日々進化する現代世界に於いて、超大国としての責任を遂行する事は出来ません。調和した社会とは、暴君の指導力によりもたらされる事ではありません。
 調和した社会を作ろうと言う胡錦濤国家主席の政策は、本当に賞讃に値する。しかしながら調和した社会は相互信頼と友好・正義を通じて実現するものであり、残忍な力の行使や独裁政治により成し遂げられるものではありません」と語った。


【Pro-Tibet、抗議者、ダボスにて中国首相に示威運動を行う】
       1月28日 AFP(ダボス、スイス)
 1月28日(水)中国首相温家宝が、世界経済会議出席することに抗議し、約100人のPro-Tibet(チベット支援団体)の活動家が、示威行動を計画通り行った。毎年この抗議行動は、政治や経済の指導者による会議が開かれる会議会場より1km離れた鉄道駅で行う事が許可されている。
 「温首相よ、チベットを変えよ」と書かれた旗を持ち行進するスイスの主要なPro-Tibet4グループと、賛同者の回りを大勢の警官が取り囲んでいた。ヨーロッパ訪問中の中国首相は28日(水)、同会議で演説をする事になっていた。
 チベットの精神的指導者ダライ・ラマ法王が亡命するきっかけとなった1959年3月の蜂起50周年記念日に先駆け、中国はチベットに対し非常に神経質になっている。昨年の結集に於ける騒動の後、ダボスでの例年の定例会議期間中示威活動は厳しく規制されており、2500人の参加者を保護する為、約5000人の警官が警護にあたっている。


【新年祝賀の反対運動の疑いでラサ警察がチベット人数十人を検挙】
       12月3日/UNPO(ブラッセル)
 チベットの新年祝賀に反対する政治運動(2008年の騒動で亡くなった人への追悼のため世界的に広まった動き)を支持した疑いがあるとしてラサ警察は数十人のチベット人を逮捕した。抗議運動は昨年の反中国示威運動を記念して組織されていた。
制服と私服の警官、及び準軍事組織の人民武装警察の一団が、2月2日(月)に始まった一斉検挙に関与していたと目撃者は本誌に語った。チベットの若者に人気の喫茶店を急襲し、路上にいた人々を年齢を問わず連れ去った。彼等は噂を広めた罪で拘束された。
 一斉検挙は、亡命したダライ・ラマ法王を支持する平和的な行進者が怒って道路で暴れだし、商店や事務所に放火する暴力行為に発展した昨年3月14日、ラモチェ寺近くの古い町並みから始まったものだ。この騒動により少なくとも18人が死亡、この後数日間に渡り近隣の県では数十人の行進者が一斉に検挙され、軍は抗議者に向かって発砲した。
 2月25日、ロサ(新年)の祝賀に反対運動をしているチベット人は、この日は追懐の期間にあてるべき、と主張している。彼等はインターネット上で抗議文を発信し、それらを説明する本文を送っている。送信文の一節で「2008年に亡くなったチベット人、及びチベットの為に命を投げ出した全ての英雄的人々を哀悼し、弔慰を表す為に我々は新年の行事は行なわないが、我々の団結を表わす為に手をつなごう」と述べている。
(後略)

【中国における、チベット人街の治安部隊】
       3月25日 AFP(南アフリカ)
 中国北西部のチベットの町で、週末行われた抗議行動により約100人のチベット僧が拘留され、昨日も治安部隊が表通りをパトロールした。
「セキュリティーパトロールは今日も行われ、通りには人がほとんど歩いていない」と報復を恐れて名は出さず、その女性は、治安部隊がどのくらいの規模かは定かではない、と電話でリポーターに語った。しかし、在アメリカ国際キャンペーン・フォ・チベット(ICT)によると、すでに新しい部隊が到着しているようだ。          
 「最新情報によると、新しい部隊は西寧市(青海省)から配置されたものです」とICTの報道担当官ケート・サンダースが述べた。
青海省の山中にある町ラブギャにある警察署を暴徒が襲い大混乱となり、93人の僧が当局に逮捕された、と中国国営メディアが伝えた。今年チベット人地域で起こった主な政治的な抗議活動の初ケースとして報告され、その行動は、地域を支配している中国に対してチベット蜂起50周年記念の抗議行動を行い、失敗に終わってから2週間もたっていなかった。同時期にチベットの首都ラサでも昨年3月14日の一周年記念の騒動が起こり、それから一週間ほど後であった。
 ある男が「チベット独立」活動の疑いで消息をたった後抗議活動が始まった、と新華社通信社が伝えた。その抗議活動のビデオが携帯電話で撮られ、チベットニュースのウエッブサイト、パユル(祖国)に投かんされたが、映像で見る限り『当局の姿は確認できず、多くの僧の集団と人々が横たわり叫んでいる』というものである。
新華社は、その抗議者の一団は、『チベット独立』を支持した疑いでラブギャに収監されている男の『噂』に騙されていると主張。
 しかし、チベット亡命政府によるとその男はチベット僧で、中国の国旗を引きずり降ろしチベットの国旗を掲げたため捕まった、と述べている。また、その後の抗議は平和的で、中国メディアの警察署を襲ったという報道を否定した。

                       ( 訳 : ケーサン・ドルカー / チベット文化研究所 )