ワールド・チベット・ニュース       2005年10月 創刊号
カナダのワールド・チベットニュース(WTN)のご厚意によりご了承をいただき、その一部を転載しています  
【共産党中央委員会など、チベット自治区成立40周年で祝電】
          9月2日 新華社【中国】
 中国共産党中央委員会、全国人民代表大会(全人代)常務委員会、国務院、人民政治協商会議(政協)中央軍事委員会は1日、チベット自治区成立40周年にあたり、自治区党委員会、人民代表大会(人代、議会)常務委、人民政府、政協、軍区に対して祝電を送った。
 祝電はこの40年間のチベットの発展の成果を強調し、中国共産党の民族政策が完全に正しく、社会主義民族地域自治制度に大きな優位性があり、全国各民族人民の大団結が諸事業の勝利発展を促す偉大な力であることが示された、と述べている。また「中国共産党の指導を堅持し、中国の特色ある社会主義の道を堅持し、民族地域自治制度を堅持してはじめて、チベットの全面的発展、進歩を実現し、チベット各民族人民の利益を実現し、わが国各民族の共同発展、繁栄を実現できる」としている。

【米国、ネパールからのチベット避難民の再定住化計画】
          9月7日 Tibet Netニュース  ダラムサラ
 カシャ(亡命政府内閣)にると、合衆国はダライ・ラマ法王並びにチベット亡命政府に対し、合衆国での難民受け入れプログラムの一部として、米国がチベット人再定住化を前向きに検討中という旨を伝えたことを明らかにした。「もし、このプログラムが承認されるなら、現在ネパールに住んでいる多くの問題があるチベット人がすべて応募し、米国国家安全保障省によって承認され再定住できる」と述べたが、まだ評価基準は定式化されていない。このプログラムは多年にわたりネパールにいる不法滞在者になっているチベット人向けのものであることは、すでに決定されている。
 「これは1991年のように単なる移民ビザ発給ではなく、米国政府により資金を供給された難民再定住の組織的な計画です」また、チベット亡命政府は、この提案の成り行きをチベットの各団体に対し、随時報告することとした。「過去40年間、ダライ・ラマ法王と亡命政府はインド、米国、他の国々、および国際的な機関から寛大なサポートを得たお陰で、大部分のチベット難民が救われてきました。 私たちは合衆国による、このようなチベット社会への継続的な福祉に対するサポート計画が進められていることを歓迎します。また、米国にチベット難民が到着した時、合衆国にいるチベットの各団体がチベット文化や宗教の伝統を支えることなどで彼らを助けるだろうということ、そして一方では世界平和に少しでも貢献することをダライ・ラマ法王は確信されています。

【世界中のチベット人が投票へ】
          9月11日 IANSニュース  カトマンズ
 世界中で亡命生活を送る8万人以上のチベット人が、日曜日に彼らの新議員を選出するため投票した。国外へ離散した18歳以上で、チベット社会で暮らす何万人ものメンバーがインド−ダラムサラに本部を置くチベット亡命政府唯一の国民会議の新しい議員を選ぶために、インド、ブータン、ネパール、カナダ、北アメリカ、およびヨーロッパで投票した。ネパールでは、今年1月以来チベット人の取締りを強化したため、ダライ・ラマ法王代表部は閉鎖されたため、日曜日のここでの選挙は静かにとり行なわれた。ネパール政府によると、チベットは中国の不可侵の地域であり、ネパールに住んでいるチベット人は法王の誕生日を祝うなどのダライ・ラマのどんな公的支援をも行ってはならないとされている。
 日曜日の予備選挙では亡命議会の候補を選ぶことになる。 世界のさまざまな地域からの投票用紙がダラムサラに送られ、その後票が数えられてトップ30人に絞られ、本選挙で議員として選ばれることになる。
 ヨーロッパが1議席、北アメリカとカナダでもう1議席、そしてダライ・ラマは3人を指名することができる。残っている10議席は1議席をボン教徒、残りは4宗派から選ばれることになる。議員は5年を一期とする。
 3月に決着がつけられる選挙の前に、世界に散らばったチベット社会では12月に主席大臣(カルーン・ティパ)を選ぶ選挙が行われる。現在はサンドゥン・リンポチェが主席大臣の任にあるが、再選されるか注目されている。

【オレゴン/ワシントン在住のチベット人が胡錦涛の訪問に異議申し立て!】
          9月16日 WTNニュース カナダ
 ポートランド/バンクーバーからのチベット人は胡錦涛の訪問について異議を申し立ての為、チベット青年議会-ポートランド/バンクーバー支部(RTYC)と国際チベット独立支援協会は胡錦涛のバンクーバー(ブリティッシュコロンビア州)への訪問を阻止するため、大々的なデモを2つ計画した。チベット独立会議の呼びかけにより、 米国側オレゴン州及びワシントン州に住むチベット人も、デモに参加する為、長い道のりを車ではせ参じた。
 チベット学生協議会によって初めて組織化された抗議は、9月16日金曜日午後6時30分からバンクーバーにあるパンパシフィックホテル前で行われる。 ホテルでは、カナダ財界の指導者たちを中国の胡錦涛主席に謁見する機会を設けるため、ブリティッシュコロンビア州の上院議員ジャック・オースチンと連邦政府通産大臣デヴィッド・エマーソンによる非公式な夕食会が開かれる。
 二度目のデモは9月17日土曜日午前10時に行われる予定だ。このデモはチベット学生協議会とカナダのチベットコミティーにより計画/組織化された。これはポール・マーチン首相が胡錦涛主席に敬意を示すための公式昼食会が執り行われる場所、カーデロ通りとコール・ハーバー埠頭の交差点で行われることになっている。
 ツェワン・リンジン(ITIM の理事)は「胡錦涛は1980年代後半、共産党書記長の時代に第十世パンチェン・ラマを死に追いやった責任と、何千人ものチベット人を殺した罪がある。 また、彼は今、残忍な共産主義中国政権の代表として北京で活躍している。今回はチベット人として、我々はチベットが独立するまで決して手を緩めないという事を思い知らせてやる、いい機会です」と述べた。

【中国軍がチベット人亡命者に発砲】
          9月24日 WTNニュース カトマンズ
 ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると中国の国境警備隊は、51名のチベット人亡命者がネパールへ亡命するのを阻止するために発砲し、3人を除いた全ての人が拘束された。その後の消息は分からない、とその亡命グループで目撃した者が話したことを関係筋が明らかにした。
 「周りの丘と谷におよそ30人の中国の軍人がいて、撃ったのです。発砲は長い間続きました」 と彼はそのRFAのチベット担当者に匿名扱いを条件に語った。「私は、だれが発砲で傷ついたかなどはわかりません。中国軍の中には何人かのチベット人がいました。彼らはチベット語で、もし我々が逃げたなら、殺す、と脅してきました。8月26日48名が捕まったのですが、そこはもうネパールの国境に近いシガツェ県ディングリ(西チベット)という所でした。3名はネパールのソルクンブへ逃げ込むことが出来ました。51名は様々な地方から集まった異年齢、職業も諸々の人々で、7月12日にチベット自治区の都ラサに集結し、ネパール国境近くまでやって来たところでした」捕まった48名は既にシガツェに到着しているはずが、9月21日現在では確認されていない。
 逃亡できた人によると、「多くの人たちはちゃんとした仏教の教えが受けられないこと、また、あまりの貧しさ故逃げ出した者、子供に教育を受けさせたい者など理由は様々です」と述べたことを関係筋が明らかにした。
 これからネパールの亡命先に到着するといろいろ審査を受け、それぞれの地方の団体に連絡される。子供の場合は教育庁に委ねられる。そのグループは24名がナクチュ県ブリールから、他はカム、アムド地方から集まっていた。そのグループの中には10歳から11歳になる子供が6名、尼僧が2名と僧が1名含まれていた。
 また、中国当局は国境の町ダムでも権限が及ばないにもかかわらず、適切な身元証明書のない者を捕らえていると情報筋は語っている。

【国連グループは、ダライ・ラマが認めたパンチェン・ラマの抑留に中国を非難】
          10月1日 ITNニュース ロンドン
 国連監視委員会は、ダライ・ラマ十四世が認定したゲンドゥン・チューキ・ニマ―ダライ・ラマに次ぐ著名な人物として知られる―を中国が継続的に抑留していることに対し非難した。また、委員会は、彼の状況について独自の調査を要求している。中国政府によってパンチェン・ラマとして認定されたギャルツェン・ノルブを、大部分のチベット人は認めていないのが現状だ。国連児童権利委員会―子供の権利条約の迎合性をモニターする―は、現在中国、ロシア、ウガンダを含む7カ国で3週間にわたり調査を完了したばかりである。
 ゲンドゥン・チューキ・ニマとその家族が1995年5月に中国当局によってかどわかされてから一度も現れていない。国連児童権利委員会の専門家は、その行方不明の少年に対する情報の提供と、釈放を求める要求が非常に強いことを明らかにした。

【欧州議会は、ネパールにおけるチベット難民の現況を把握】
          10月3日 チベット人権委員会(USA) 
 9月29日にストラスブールで開かれた欧州議会本会議の終わりに、ネパールにおける現在の人権状況が、討議された。ネパール政府の決定に対しMEPは「チベット難民福祉事務所(TRWO)をカトマンズに再建し、チベットの難民に対する救済サービスを提供できるように、UNHCRと共同事業を行うダライ・ラマ法王駐在員事務所の活動再開を再度ネパール政府に要請する」と呼びかけた。

                           (WTNより  訳ケーサン・ドルカー チベット文化研究所)