ワールド・チベット・ニュース   2007年10月・11月・12月 第11号
カナダのワールド・チベットニュース(WTN)のご厚意によりご了承をいただき、その一部を転載しています
【ネパールは、チベット人5,000人の米国保護を妨害】     
       10月31日/Newspostindia
 中国の圧力の下、ネパールのコイララ政権(2006年民主主義と人権保護を掲げ権力につく)は5000人のチベット難民が米国の保護を得るのを阻止した。これは今週、米国の人口/難民/移住担当副大臣エレンSauerbreyが現在ネパールに在住するブータン難民の米国移住を促進させるためカトマンズを訪問、その折明らかにされた。
現在ネパールには、難民としてネパール政府に登録しているチベット人が14000人住んでいる。しかしながら、中国は50年以上も占領している仏教国チベットから亡命した指導者ダライ・ラマ法王を排除したいと願っているため、法王に関するいかなる慶事をも、彼ら難民が祝うことは公的に認められていない。中国の機嫌を損ねることを恐れ、彼らが団体活動をすることを禁止し、またチベット難民ではなく、不法滞在者として扱っている。
 米副大臣は水曜日にネパール最大の民放テレビ局を通じ、アメリカ政府が難民受け入れプログラムに沿って、昨年(2006年)5000人のチベット難民受け入れを決定したと述べた。しかしネパール政府が無視したことで、この申し出は実現されていない。(後略)

【オリンピック大会を監視し続ける活動家へ警告】 
    −国連は、2008年のオリンピックをサポートするため休戦決議を可決−
       11月2日/ガーディアン(英国)
 中国は昨日、来年のオリンピックで未許可の抗議行動を容認しないと警告、また、その2週間の会期中に市民権運動家や宗教活動家を拘留することもあるとほのめかした。
 チベット独立を要求する活動家たちの大会開催反対にもかかわらず、国連総会で2008年北京大会でのオリンピック休戦決議が採択されたため、このような警告が出された。決議は、国連加盟国宛に次の8月大会で「平和を見守り、推進する」よう要請するものである。

【ダライ・ラマ法王の日本訪問、閣僚との会談予定なし】
        8月27日/ニューズウイーク
 海外でチベットの宗教的指導者の訪問に対する中国政府からの抗議があったにもかかわらず、今週ダライ・ラマ法王が日本を訪問される、と月曜日に主催者が明らかにした。しかし、外務省によると木曜から始まる9日間のご訪問中、72歳のノーベル平和賞受賞者と政府要人との会談は予定されていない。 法王は横浜で仏教大会に参加し、関西方面伊勢の大学で講演、及び東京で高校を訪問される、と主催者が発表。(中略) その宗教的指導者は最近カナダのスティーブン・ハーパー首相、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、アメリカのブッシュ大統領などと会談しており、中国当局からは非難されている。 一方日本は、共産主義の隣人との関係改善を目指しており、安倍晋三前総理大臣は昨年関係を深めるため中国を訪問、返礼に中国の温家宝首相が4月に訪日している。

【チベットの観光産業記録更新】
       12月17日/BBC NewsK
 チベットへの観光客数が記録を更新した、と中国のマスコミが報道した。当局の発表では毎年64%増加しており、2007年では400万人を超えるもよう。当局はマーケティングの向上と、現在論議の対象となっている中国への高速鉄道サービスの改善を目指している。 批評家によると中国はこの鉄道網で、チベットの統制と文化の侵食を推し進めている。地方共産党書記の張Qingliはチベットは観光全盛期に入ったと述べた。観光からの収入は前年より73.3%増え、2007年には48億元($650m, £322m)が見込まれており、鉄道も新しい空港も発展に寄与していると語った。(後略)   
 
【チベット僧の拘束、暴動の引き金に】
       12月20日/AFP(カトマンズ)
 地元の有力筋によると、西チベット自治区中国政府機関がチベット僧を政治的なキャンペーンに従わなかった二人を拘束したことで、市民と武装警察が衝突したと伝えた。
「ナミンとターペルという二人の僧です」とナクチュ県にあるジェショ・バイカル寺院の仲間の僧がインタビューに答えた。
「彼らはダライ・ラマ法王を批判する書類の内容を認め、サインするよう強要されたのです。その書類にサインしないと、罰金1万元払わねばならないのですが、彼らに1万元なんてありません。投獄され、今はどこにいるか分かりません」
11月、収監された6名の僧の釈放を求めるチベット人グループとバイカルの店主との小競り合いから衝突が勃発し、数百名の武装警官が鎮圧に駆り出された。6名の僧はケユ、ダムダル、ドルジェ、ダクパとタシ、および名前が分からない僧1名である。若年僧イェシェ・トメ(15)とドンドゥプ(16)も行方知れずになっている、と現地情報筋がRFA Tibetan Serviceに明らかにした。
警察が威嚇射撃をしている間、現地で大規模に行われている『愛国的な再教育』キャンペーンに反対する抗議行動はピークに達した。そのキャンペーンとは、現地のチベット人に亡命したダライ・ラマ法王を分離主義者として非難する書類に強制的に署名させるものだ。
「住民と僧は、ただ中国当局に拘留されている人への面会と僧院再開を要求しているだけです」とバイカルの僧はつけ加えた。
しかし中国当局は「捕らえられた者は正規の手続きを踏んで収監されており、もし彼らのサポートをしようものなら、それは違法行為になる」とチベット人に告げた。かつて僧院は200人の僧で賑わっていた。(後略)
                    ( 訳 : ケーサン・ドルカー / チベット文化研究所 )