ワールド・チベット・ニュース   2007年7月・8月・9月 第10号
カナダのワールド・チベットニュース(WTN)のご厚意によりご了承をいただき、その一部を転載しています
【チベットグループ、 米国の球場で北京オリンピックに抗議】     
       7月26日(木) /AFP
 チベット独立グループは、来年8月8日から開催される北京オリンピックに反対するため、その1年前にあたる来週、メジャーリーグ球場で抗議する計画を発表した。 自由チベットグループは、スーダン地域に衝撃を与えた中国の武器取引にダーファーの抗議者が注目したような方法で、中国が行うスポーツの祭典の背後に行われていることにみんなで抗議するよう、中国人権問題に焦点を当てようとしている。
 数千ものチベット支援者は8月4日ニューヨークばかりでなく、トロント、オークランド、シカゴ、デトロイト、ロサンゼルス、シアトル、サンディエゴ、ミネアポリスでメジャーリーグ観戦中に事を起こそうと計画中だ。 「中国はそろそろ目覚めなくてはならない」と本部長ヤコブ・コッカーは言う。「北京オリンピックを見に行くスポーツファンは、オリンピックスタジアムの中はもちろん、場外でも自由で公平に行われることを期待している。中国は世界のスポーツ観戦者にチベット問題でも同じような前進を示す必要がある」(後略)

【チベットグループはオリンピック委員会を創設し、チベットチームを2008年の北京オリンピックに参加させるようIOCに要請】 
       8月3日/WTN(スイス、ローザンヌ発)
 発足したばかりのチベットオリンピック委員会は国際オリンピック委員会(IOC)の会長ジャック・ロゲへ手紙を書き、2008年の北京オリンピックへチベットチームの参加を要請する手紙を送った。 「我々は若いチベットのアスリートチームを来年のオリンピックに参加させられることを誇りに思いますので、急遽オリンピック委員会を立ち上げました」と2007年7月30日に創設したばかりのNOCチベット会長のワンポ・テトンが述べた。
 NOCチベット委員会は、世界中のIOC代表と各国オリンピック委員会がオリンピックの一員になるというNOCチベットの要請を受け入れることに期待している。 現時点では、国としてチベットはオリンピックに参加できない。1950年以降チベットは中国に占領されており、チベット人は文化的かつ社会的特徴である自らの言語を有し、特定の領域を持ちながら中国の冷厳な支配下で暮らす異なった民族である。
  チベットチームのメンバーは、亡命した若いチベット人。スポーツ好きで、母国を追われ難民とならざるを得なかった人々である。彼らはただ、他のアスリートと共にオリンピックの夢を分かち合い、2008年8月8日各国の若者に混ざり、オリンピック会場で誇りを持ってチベット国旗を掲げたいだけである。(後略)    

【中国は仏教の輪廻転生を統制】
        8月27日/ニューズウイーク
 中国政府はチベット仏教僧に政府の許可が無い転生を禁じたが、これは歴史上全体主義の最も愚劣な行為となろう。州政府の宗教省が出した声明ではその法律は翌月から実施されることになるが、人が転生する行程を厳しく規定しており『転生を制度化して管理する』ことにつながる。
 しかし、中国の本当の狙いはチベットの精神的な指導者ダライ・ラマ法王の影響を締め出し、50年以前に占領したヒマラヤの国の仏教制度を抑えるためだ。 中国以外に住む輪廻転生を探し求める仏教僧に対して、その法律は中国当局が次のダライ・ラマ(その魂は伝統により苦しみを癒すため、次の生に生まれ変わる)を選ぶことが出来るとしている。
 1959年よりインドに暮らす72歳のダライ・ラマ法王は、自分の後継者について、中国の統制化にある限りチベット本土に生まれ変わる事は無いと明言している。ダライ・ラマ法王はここ600年もの間そうしてきたように、自身の転生をコントロールできるとされている。状況次第では将来中国とチベット仏教僧が選ぶ二人のダライ・ラマが現れることもある。
 これに関しスタンフォード大のチベット仏教学者ポール・ハリソンは、「それはものすごいトピックとなりますよ。ダライ・ラマ法王はチベット人にとってはまとまるための大切な象徴であり、国家そのものですから、他の事はさて置き、その転生に関しては当然おおいにもめる事でしょう」 では、次のダライ・ラマ法王はどこに転生するのか? ハリソンと他の仏教学者は13万人にも及ぶ亡命チベット人がいるインド、またはヨーロッパや北米であろうと予測している。

【台湾、チベット亡命政府との関係向上を求む】
       9月8日/Monsters and Critics.com -UK
 台北発―台湾の大統領、陳水扁は土曜日チベット亡命政府に対して、中国を拒む台湾と歩調を合わせるよう要請し、ダライ・ラマ法王を台湾へ招聘した。
 チベットの人権問題セミナーで、陳大統領は「チベットは小さな勢力で中国の圧制を拒み、軍事的脅威の下で自由を求めている重要なシンボルである。また、それは国際社会が人権をどう取り扱うかのテストケースでもあります」と、述べた。また、「今日チベットと台湾は中国の脅威という同じ運命に直面しています。したがって、台湾国民はチベット人が苦しめられている苦労を理解でき、台湾はチベットが自治を勝ち取れるよう願うと共に、しっかりサポートします。我々はチベットの未来についてのダライ・ラマ法王の決定を尊重し、また台湾とチベットがより親密になり、お互い助け合えることを願います」と語った。
   
【ダライ・ラマ法王ゴールドメダル受賞】
       9月18日/Numismatic News
 9月5日、第14世ダライ・ラマ・テンジン・ギャツォに連邦議会議事堂において、米国議会の 金メダル授与が決定した下院決議に、上院が同意したことは、驚きも無く当然の事として伝わった。ワシントン(D.C.)で行われることは全てに、上院と下院の承認が必要である。法王の平和、非暴力、人権問題と宗教的な相互理解への忍耐強いすばらしい貢献が認められたため、2006年9月27日に、ブッシュ大統領が第109−287法に基づき、ゴールドメダルの授与を認可した。
 今まで受賞した主な宗教者は、法王ヨハネ・パウロ2世、Menachim Schnearson Rabbiなどで、1776年、ジョージ・ワシントンが初めて受賞したときより数えて、およそ300個の金メダルが著名人に贈られた。

【人権ウォッチ、チベット人学生の解放を中国に要請】
       9月20日/VOA NEWS
 大手人権グループは、中国当局に対し建物にチベット独立スローガンを書いた疑いで拘留されている7人のチベット人ティーンエイジャーを、早急に解放するよう要請した。
 人権ウォッチは、中国当局が甘粛省甘南チベット族自治州の14〜15歳の男子学生を、9月7日頃から約2週間拘留していることを木曜日に発表した。村の交番や建物の壁に文字が書かれた翌日に捕まった模様。人権ウォッチは、その後面会した家族によると14才の抑留者は逮捕時または拘留中にひどく殴られ、出血がひどかったと述べた。
 そのグループに対し当局は、逮捕後間もない9月10日に彼らを夏河の近郊にある町に移送し、家族の面会を禁じた上に学生がまだ監禁されているかの確認も拒否していると述べた。学生たちはダライ・ラマ法王の帰還と自由チベットを求めるスローガンを書いたとの理由で捕まっている。 中国はダライ・ラマ法王を「分離主義者」と呼び、密かに分離主義を押し進めていると非難。ダライ・ラマ法王は1980年代後半より、チベットの自治権を得るため、中国との交渉に奮闘している。 中国軍は1950年チベットへ侵攻した。中国支配に反乱を企てるが失敗、1959年ダライ・ラマ法王と数万の追従者がインド亡命した

                    ( 訳 : ケーサン・ドルカー / チベット文化研究所 )