ワールド・チベット・ニュース 2005年12月・2006年1月 第3号
カナダのワールド・チベットニュース(WTN)のご厚意によりご了承をいただき、その一部を転載しています
【オーストラリアの議員、議会でチベット問題を提議】
         12月8日 Tibet Net ダラムサラ
 エジンバラで開かれた第4回チベットに関する世界議会派議員会議(WPCT)に参加したマイケル・ダンビー労働党議員が、2005年12月1日のオーストラリア議会下院で、チベット支持を提訴した。この行動はオーストラリア民主党ピ−ター・スリッパー議員に支持され、ダンビー議員は来年オーストラリア議会で討議され、通過する事を望んでいる。
 この運動は、2008年北京オリンピックの前にチベット問題を解決しようとする世界的リーダーによる近年の呼びかけに連動し、本物の自治権の確立、パンチェン・ラマ(ゲドゥン・チョーキー)を含んだ全てのチベット政治犯の釈放を求めるダライ・ラマ法王の代表団との話し合いが決着するよう中華人民共和国に訴えるものである。(後略)

【フランス議会派議員、温家宝中国首相に、チベット人権問題を持ち出すよう大統領に求める】
         12月8日 Tibet Net ダラムサラ
 フランス議会派議員によるチベットサポートグループはフランス下院議会で、フランスのジャック・シラク大統領に中国の温家宝首相と会談をする際、その中でチベット問題を持ち出すよう強く求めた声明を提出した。アメリカのジョージ・ブッシュ大統領が最近中国の首都を訪問、中国の首相との会談でチベット問題を取り上げたが、その行動に同調するよう求めた。
 また、前フランス文化・教育大臣ジャック・ラングは、フランスと中国間の人権についての意見交換が不足していると批評した。彼は、チベットがその紛れもない例であると言及した。
 温家宝首相は、自国とフランス間の商業的な関係を強化すべく、2005年12月4日にフランスに到着した。中国首相はこの訪問で、フランスから、150台のエアバスクラフトと5台のエアバス、および商業的には世界最大と言われる飛行機380台を購入する契約にサインした。
  
【パンチェンラマ中国の政策を称賛】
           12月29日 ロイター通信 北京
 中国政府によりチベット仏教の最も神聖な座に選ばれたチベットのティーンエイジャーは中国の宗教政策を称賛するため、月曜日に中国国営メディアに現れた。パンチェンラマ11世は1995年に中国政府により認められ、その役割を担ってからとても厳しく規制され、隠遁生活を余儀なくされていた。パンチェンラマの座はチベット仏教ゲールク派の中でダライ・ラマに次ぐ第2番目の地位を占めている。
 この若者が選ばれる以前、ダライ・ラマ(中国から裏切り者の分離主義者と呼ばれる亡命中のチベット指導者)が認定したパンチェンラマの後継者を中国政府は追放してしまった。その少年ゲドゥン・チューキ・ニマ は現在16歳、その両親は今だに中国に抑留されており、国際人権グループは少年の解放キャンペーンを行っている。
 中国国営の新華社によると、北京政府が中国の宗教政策を称賛する「生き仏」を認めているが、それは様々な国際人権支援グループやブッシュ政権から非難を招いている。

【亡命チベット人、ダライ・ラマ後の生活を憂慮】
           1月2日 エコノミスト誌
 チベットの精神的指導者であるダライ・ラマ14世は、いつものように希望に満ちた笑みを浮かべ人々を励ます前に、自分達が消滅の危機に瀕していることを同胞である450人の観衆を前に警告した。聴衆のほとんどはふるさとを離れ、ヒマラヤを越えてインド北部のダラムサラへ亡命してきたばかりである。
 1959年中国がチベット蜂起を鎮圧して以来、およそ80000人が法王の亡命に追従しており、法王はずっとチベット文明の存在に対する脅威を心配していた。それは毎年大きくなっていくようだ。600万の人口から13万ものチベット人が亡命し、その4分の3がインドに居住している。彼らは祖国に戻る夢を持ちながら、上手く自分達の慣習を生活に活かしている。
しかし2つの予想が、その夢を蝕み始めている。一つ目は、中国と中央チベットを結ぶ鉄道が直ぐにも完成する事だ。2007年に旅客を運ぶようになると、漢民族の移住が加速し、すでに都市部ではチベット人のほうが少数派になりつつあるが、その危機に侵されるだろう。
 二番目は、法王自信もインタビューで述べているが、自身の死が重大な妨げとなるであろうことだ。ダライ・ラマ法王は、去年7月で70歳を迎えられたが、大変お元気そうだ。しかし永遠には生きられない。法王の支援者達は、それこそ中国が心配せねばならないことで、法王が示しているチベット民族との和解のチャンスを彼らこそつかむべき、と反発している。
 教育省大臣である僧のカルマ・ゲレックは、その理由を3つ挙げている。将来いかなる指導者が出ようとも、現在のダライ・ラマ以上にチベット人が忠誠を示さない事、法王は独立ではなくチベットに真の自治を求めている事、暴力を禁止している事などだ。(後略)

【中国政府はコシ(ネパール西部)−ラサ間ハイウェー建設に積極的】
           1月3日 新華社
 在ネパール中国大使孫和平は火曜日に「我々はこのハイウエーを大変重要と考えています」とモラン・トレイド協会(民間の組織)によって組織されたインタラクション(相互作用)・プログラムで発言した。ネパールへつながっている10本の公道の中では最も重要である事を示唆した上で「ですが、ネパール政府はこの道路建設を正式に中国当局に要請する必要がありました」と加えた。また、中国は常にネパールの平和の確立を望んでおり、ここでの開発援助は続けるとも述べた。

【紛失していたパスポートがかつてのチベット独立を証明】
           1月15日 AFP
 1950年中国がチベットを占領する以前、官僚に発給されたチベットのパスポートがネパールで発見されており、それはとりもなおさずチベットは以前独立国であった事を証明する・・・とチベット亡命政府は主張している。
 そのパスポートは1947年チベット政府により発行されていることを、フレンド・オブ・チベットの代表テンジン・ツォンドゥが公表した。同時に発行されたパスポートは殆どが消失しており、他のチベットのパスポートが存在しているとは思えないとAFPに告げた。パスポートの持ち主は、当時のチベット政府の財務大臣シャカパで、そのパスポートの中央にはチベット政府の捺印があり、それを囲むように米・英・印・伊・仏・スイス・エジプトなどの政府発給の査証捺印がある。

【チベット人と支援者がグーグル本社に抗議】
           1月27日 SFT サンフランシスコ
 1月26日午後、およそ20名のチベット人とその支援者がカルフォルニア州マウンテンビューにあるグーグルの本社を訪れ、検閲活動において中国政府と手をつなぐというグーグルの決定に対し不快の念を表明、抗議を行った。
 グーグルは、チベット問題や人権、および中国当局に都合が悪い話題に関する情報へのアクセスを妨害するという中国当局の仕分けに従い、注文製のウェブ検索エンジン開始にこぎつけた。
                           (WTNより)訳ケーサン・ドルカー チベット文化研究所)